三重県伊勢市の医療法人なかの歯科院長のブログです

BIOMET 3i Japan 講演会

2012年3月18日
Dr. Ernesto A Lee 講演会(大阪)


BIOMET 3i Japan 講演会
アメリカ ペンシルベニア大学歯周病学臨床教授
ニューヨーク大学歯学部非常勤講師
Dr. Ernesto A Lee
「審美領域におけるインプラント治療」

欠損のタイプによる治療法の選択とその違い(成功率など)についてを供覧。

審美領域インプラントに関する Dr. Leeの見解
・審美領域のインプラント治療に最も大事なのは、歯の周りの組織をできるだけ現状に保つことで、それには抜歯即時インプラントが有用である。
・埋入したインプラントと骨との間隙にBio-Ossを使用することにより、長期に渡って骨形態の維持、安定が得られる。
 昨年、日本で「非吸収性骨補填材」として厚生省に認可されたBio-Ossだが、彼を含む多くのImplantologistは「遅延型骨置換補填材」と認識している。
・インプラント周囲歯肉の薄い症例でも結合組織移植を行う必要は無い。

Dr. Leeは、できる限り抜歯即時で最適の位置にインプラントを埋入して抜歯時の歯の周囲組織を保存するよう努め、結合組織移植などの不必要な手術は避けるべきであると述べております。

2007年 L.A.にて

このコンセプトは、上写真のように、既に2007年には Dr. W.Becker や日本の一部 Implantologist が提唱していたコンセプトと同じで、私自身、抜歯即時インプラントにより骨や付着歯肉を可及的に温存し、骨造成や結合組織移植などの手術を行うことも無く長期に安定したインプラントを数多く経験しております。
ただ、インプラント埋入トルクに関して・・・Dr. Leeは70Nを推奨しており、 compression necrosis(圧迫による骨壊死)は一例も報告されていないと述べていますが、私はこれには疑問を感じざるを得ませんでした。何故ならば、70Nという高いトルクで埋入されたインプラント周囲骨には、仮に骨壊死が起こらないとしても圧迫の強い部分の骨には挫滅が起こり、一旦その部位の骨が吸収してから再び骨がインプラントに寄ってくるという過程を取ります。それに比べ、適正なトルク(20〜45N)の場合、周囲骨はほとんど吸収すること無く即座にインプラントに寄って来るので、安全かつインプラント全周に骨ができるまでのタイムラグがないと考えております。また、即時荷重を行う場合でも45Nあれば良いと言われており、70Nという値に果たしてメリットが有るのか疑問です。

3iインプラントの新システム「Encode System」は、口腔内のカバーキャップをカメラ撮影、あるいは印象することで作業用模型ができあがり最終補綴物が作製できるので、今までのフィクスチャーレベルの印象が必要なくなるとのこと。間もなく日本でも実用化、非常に興味深いです。。。